労使トラブルが増えている理由
   近年、企業と労働者とのトラブルが急増しています。トラブルの原因はいろいろありますが、なぜこれほど急増しているのでしょうか?
①不況の影響
 大不況が続く中、企業はいろいろな方法で乗り切ろうとしています。なかでも、多くの企業が人件費の削減を行っています。人件費削減には、人員削減(リストラ)、残業削減、降給(減給)、非正規社員への切り替え、などいろいろな方法がありますが、どの方法をとっても従業員は不満に思うはずです。たとえ自分がリストラの対象にならなくても、同僚が解雇されたとなれば会社に不信感を持つようになります。また人員が減らされれば、当然、1人あたりの負担が増えます。負担は増えても待遇は悪くなる、という状態が続けば、従業員の不満が大きくなるのは当然です。
 また従業員の教育や福利厚生にかける費用も削減され、従業員が不満を持っていることもあります。
  
②労働者の権利意識の向上
 最近、書店に行けば労働問題に関する本がたくさん並んでいます。しかも、そのほとんどが労働者の権利を主張するためのノウハウ本です。もちろん、労働者の権利は守らなければなりませんし、その権利を教えるのは必要でしょう。しかし、最近はかなり行き過ぎた権利保護が目につきます。極端に言えば、労働基準監督署へ駆け込んだ時点でほぼ労働者側の勝ちです。どんなに企業がコンプライアンスを意識していても、完全に遵守するのは至難の業です。
 こういった世間の変化に対応していない企業が、まだまだ多いのではないでしょうか。
  
③企業の従業員軽視
 株主重視など、いわゆるアメリカ式経営を取り入れる企業が増えています。もちろん良い面もありますが、悪い面も少なくはありません。また、中小企業でも同じようなケ問題が増えています。この場合は株主重視というより、役員重視というところでしょうか。「一部の役員は高い報酬を取り、一般の社員は薄給で過酷な労働をさせる。」様々な不祥事を起こす企業の多くはこういった傾向にあるようです。こういった企業のニュースが増えているため、自分の会社も疑いの目で見るようになるのでしょう。


 労使トラブルが起こる原因は、多くの場合、会社と労働者双方に責任があります。どちらかが一方的に悪いということはあまりありません。従業員は自分だけが不当な扱いをされたと思っていても、会社の評価が低いことには会社なりの理由があるでしょう。このように、双方の言い分が食い違っている場合、会社の言い分を通すには明確な証拠が必要になります。この証拠を揃えるのは現実的には難しいと思います。会社は一人の従業員をずっと監視しているわけにはいきませんから。

 
 労使トラブル発生の理由は
   労使トラブルの内容はいろいろです。もちろん、そのケースによって解決法や対策も違います。簡単に解決できないのが労使トラブルの難しさです。
①残業代の未払い
 残業代に関するトラブルは非常に増えています。先ごろ問題となった「名ばかり管理職」なども、このトラブルに含まれます。 
 基本的なことですが、法定労働時間(通常8時間)を超えて労働させた場合には、25%の割増賃金を支払わなければなりません。その割増賃金を支払わないことで、トラブルになります。
 時間外手当についての解決策は2つしかありません。「残業代をきちんと支払う」か「残業をさせない」かのどちらかです。
 この残業代には例外もあります。例えば、名ばかりではなく本来の管理監督者、外回りで勤務時間を把握できない従業員(主に営業職)、監視・断続労働の従業員などは、時間外手当の支給対象外とされています。(ただし、営業職が全て適用除外というわけではありませんので注意しましょう)
    
②懲戒処分が重すぎる
「ほんの小さなミスで給料を減らされた」「1回の遅刻で降格させられた」など、これも頻繁に起こります。懲戒処分には、「口頭注意」「譴責」「減給」「出勤停止」「諭旨退職」「懲戒解雇」などがあります。
 通常、懲戒処分をするには、「何をしたらどういう処分をする」ということが就業規則に記載されていなければなりません。例えば、「会社の金品を横領したら、懲戒解雇にする」ということを、あらかじめ明記しておかなければなりません。また、記載があったとしても、それが不当に重すぎるようなケースでは無効と判断されるおそれもあります。
  
③パワーハラスメント・セクシャルハラスメント
 多くの場合、上司から部下へ行われます。これは当事者間の問題として簡単に処理することはできません。会社には、パワハラ・セクハラを防止する義務があります。
 もしも、常習的に行っている管理職がいたら厳しい処分をすべきです。あまりにも目に余るようなら、懲戒解雇も視野に入れて対応しなければなりません。管理職は一般の社員よりも勤務態度や成績などにおいて、高いレベルが求められるはずです。そのために高い給料を支払っているのですから。もちろん、事実関係は慎重に調べなければいけません。
  
④解 雇
 ひとくちに解雇といっても、いくつかの種類があります。懲戒解雇、普通解雇、整理解雇などです。それぞれ有効とされる要件が異なります。
  

⑤人事異動

 ひと口に人事異動といって以下の種類に分類されます。
 1.臨時的・一時的なもの
    出張、短期間の応援など
 2.就業場所や業務が変わるもの
    配置転換、転勤、転籍、出向など
 トラブルになりやすいのは、2のケースです。転勤や配置転換については、採用時に職種や就業場所を限定した契約を締結していなければ、会社は人事権として命じることができます。個別の労働者から合意を得る必要はなく、就業規則に転勤や配置転換を命じる場合があるという規定があれば問題ありません。これは在籍出向(籍は現在の会社に置いたまま、他社へ出向すること)についても同様です。
 ただし、転籍(現在の会社との雇用関係が消滅し、新しい会社と雇用契約を締結すること)を命じるには、対象労働者の同意を得なければなりません。


 
   労使トラブルを防ぐには  
  ①労働基準法その他の法律を遵守する
 当たり前のことですが、実は一番難しい問題です。労働労務に関する全ての法律を完全に守るのは、実際にはほぼ不可能に近いと思います。例えば、作業着に着替える時間も賃金の対象になるケースもありますし、1日のタイムカードの端数時間の切捨てなどはすべて認められていません。
 完全遵守とはいかなくとも、残業手当、有給休暇の消化、休日の確保、賃金の変更など、基本的な部分については、常に意識しましょう。
  
②過剰な制裁はしない
 少しのミスで減給したり、降格したりするのは避けましょう。当人だけでなく、他の従業員も会社を信用できなくなるおそれがあります。問題行動やミスと処分の重さのバランスが大切です。もちろん、特定の従業員を眼の仇にするような処分は論外です。
  
③制裁は文書で記録しておく
 過剰に重い処分をするのは問題ですが、組織である以上は何もしないわけにはいきません。そこで、軽微な処分の場合には「始末書」を取るのをお勧めします。始末書とは、処分の対象となった行動や、反省の意思を自ら書いてもらうものです。何度も同じミスや問題を起こす従業員に対して、後日有力な証拠になります。また、口頭注意(戒告など)の場合でも、注意した日付、内容、そのときの相手の態度などは記録しておきましょう。
  
就業規則は必ず作る
 どんな小さな会社でも、従業員を雇うのであれば作成すべきです。労働基準監督署で届け出るかどうかは別の問題です。
  
⑤従業員のプライド、メンツを考える
 例えばリストラをしなければならなくなったとき、誰かに退職してもらうことになります。それは経営上仕方がないかもしれません。しかし、問題はそのやり方です。ある日突然、書類1枚で告げられるのと、十分に話をして会社ができる限りの援助をする姿勢を見せるのでは、当人の受け取り方はまったく違うはずです。長年努めてきた会社にあっさり解雇されては、本人のプライドやメンツは丸つぶれです。その結果、仕返しとばかりに攻撃されるケースが少なくありません。会社にいる間は会社の方が強い立場でも、退職した後はまるっきり逆転することを忘れてはいけません。
 いろいろなトラブルがありますが、最終的に感情論になることも珍しくありません。会社に恨みをもたれるようなやり方は、結局会社の評判を落とし、いろいろなトラブルを抱えることになります。
  
⑥退職届は必ず提出してもらう
 基本的なことですが、意外と忘れがちなことです。理由と日付は必ず確認しましょう。本人の直筆で書いてもらうのが普通ですが、なかには提出しない人もいます。提出しない人には、ひな型を用意して名前と押印だけもらっても構いません。
  
⑦従業員への説明・同意
 経営状況が悪くなれば、会社はいろいろな手段を取って乗り切らなければなりません。その手段として、従業員に何らかの負担・我慢をしてもらわなければならなくなることもあるでしょう。例えば、給料のカット、人員削減、経費の節約など、従業員にとっては重要な問題です。しかも、そんな大事なことを何の説明もなくいきなり実行されては、とても納得できるはずはありません。会社への不信感が強くなり、やがて爆発するかもしれません。
 事前に現在の状況と今後の見通しを説明し、今やらなければ会社が存続できないことを理解してもらい、できれば同意を得る努力をすべきです。(違法かどうかということとは別の問題です)

 


 トラブルを解決するのではなく、トラブルを起こさないことが、会社と従業員双方にとって望ましい職場になる第一歩です。
 当事務所では、トラブルが起きてからの解決法を考えるのではなく、事前に予防することを第一に考えています。




 
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に関する法律、人事・労務管理の専門家として、企業経営の3要素(ヒト・モノ・カネ)のうち、ヒトの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる、ヒトに関するエキスパートです。一般的には社労士、労務士などと呼ばれます。


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