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埼玉県越谷市 社会保険労務士・行政書士 宮崎事務所です。ご相談はお気軽にどうぞ。

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メンタルヘルスケアの必要性

 近年、労働者の職場でのストレスは増大し続けています。それに伴い企業のメンタルへルス(心の健康)対策の必要性、重要性も高まっています。職場のメンタルヘルス対策は、CSR(企業の社会的責任)、安全配慮義務、労務管理の面において重要な役割を持っています。
 
 従業員のメンタルヘルスに問題が発生すると、多くの場合、作業効率は低下します。病状によっては長期間の休業や就労制限が必要となることも少なくありません。そのため、他の従業員の負担が増えたり、職場全体の成果が下がったりすることで、職場全体の就労意欲の低下や雰囲気の悪化に繋がるおそれもあります。逆にメンタルヘルス対策をきちんと実施することで、職場全体の活性化や作業効率の向上に繋げることも可能になります。つまり、メンタルヘルスは労働者個人の問題としてではなく、企業全体の問題として扱う必要があります。
 また、最近では過労死や過労自殺、強度の精神疾患などを発症した従業員やその遺族が、会社の対して高額な損害賠償を請求する事案も増えています。企業が安全配慮義務に違反し、従業員に損害を発生させた場合は、企業に民事上の損害賠償責任が生じます。もしこういった事態になれば、他の従業員への影響も大きく、加えて企業名が公表されれば対外的な企業イメージは著しく低下することになります。

メンタルヘルスケアの基本

 ストレスの原因となる要因は、仕事、家庭、地域などいたる所に存在しています。メンタルヘルスを良好な状態に保つためには、労働者自身がストレスに気付き、これに対処することの必要性を認識することが重要です。
 しかし、職場でのストレス要因は、労働者個人の力で取り除くのが難しいものが少なくありません。そこで、労働者の心の健康づくりを推進していくためには、事業者によるメンタルヘルスケアの積極的な推進が不可欠です。そのため、事業者は「心の健康づくり計画」を策定し、実施する必要があります。また、心の健康づくり計画を実施するにあたり、就業規則などの社内規定の整備も同時に行う必要があります。

 また、心の健康づくり計画を実施するためには、以下の4つのケアを実施することが重要です。

①セルフケア

 労働者自身によるケアです。具体的には、「ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解」「ストレスへの気付き」「ストレスへの対処」などです。事業者は、労働者がセルフケアを行えるように教育訓練・情報提供等を行う必要があります。

②ラインによるケア
 管理監督者によるメンタルヘルスケアです。職場におけるメンタルヘルス不調は、管理監督者によって発見される場合が最も多く、メンタルヘルス対策のなかで最も重要といえます。事業者は管理監督者への教育訓練、メンタルヘルスケアを実施するために必要な社内体制の整備などが求められます。

③事業場内産業保健スタッフ等によるケア
 安全衛生管理者、産業医、保健師、人事労務スタッフ、メンタルヘルス推進担当者などによるケアです。中小企業ではメンタルヘルスを専門に扱う部署は担当者を設けていることは少なく、また産業医等の選任義務もないため、④の事業場外資源との連携が重要となります。

④事業場外資源によるケア
 精神科や心療内科などの医療機関や、保健所、精神保健福祉センター、産業保健推進センターなどの公的機関などで、メンタルへルスに関する相談や指導を受けることができます。


 従来の企業のメンタルヘルスケアは、専門の医療機関が中心となる「医療依存アプローチ」が主流でした。確かにメンタルヘルスケアにおいて医療機関の役割は重要ですし、メンタルヘルス不調者の治療は専門の医療機関での治療が不可欠です。しかし、過度に医療に依存しすぎると、本来は事業場内で対応すべきケースでも、すべて医療機関に任せるという企業の責任放棄ともいえるような誤った行動につながる恐れがあります。

 企業内でメンタルヘルス対策を実施しても、残念ながら失敗するケースが少なくありません。それにはいろいろな理由が考えられますが、なかでも多いのは「その場しのぎの対策」と「本人任せ」でしょう。
 「その場しのぎの対策」しか採らない企業は、メンタルへルス不調者が出ると、とりあえずは面談をしたり、時間外勤務を減らしたりはしますが、メンタルヘルス不調者が退職したり、休職者が復職してしばらく経つと今まで通りの職場に戻ってしまうケースが少なくありません。その結果、職場のメンタルヘルスケアは進まず、従業員のモチベーションも上がらないといった状況が続いていきます。
 「本人任せ」の企業は、メンタルへルス不調者が出た場合、とりあえず休職はさせますが、復職する時期や復職後の仕事を本人に任せきりにしたり、調子が悪ければ自分で対処しろというケースもあります。その結果、十分に回復する前に復職させてしまい、顧客からクレームが来たり、他の従業員のストレス原因となることもあります。また、安全配慮義務の不履行で責任を追及されることも考えられます。

 企業のメンタルヘルスケアは、継続して実施することと、組織として実施することが最も重要となります。
 



メンタルヘルスケアの進め方

 事業場内でメンタルヘルスケアを推進するためには、以下の4つのケアが適切に実施されるよう、事業場内外の関係者が相互に連携、協力していくことが必要です。

①メンタルヘルスケアの教育、情報提供
 労働者、管理監督者、事業場内産業保健スタッフなど、それぞれが担当する役割の応じた教育訓練、情報提供が必要です。
 具体的には、
 ・メンタルヘルスケアに関する会社の方針
 ・ストレスやメンタルヘルスの基礎知識
 ・セルフケアの重要性
 ・事業場内の相談先、事業場外資源の利用方法や連絡先
といった内容になります。

②職場環境の把握と改善
 労働者の心の健康には、以下のような職場環境が影響を与えます。
 ・労働時間、仕事の量と質
 ・セクハラ、パワハラを含む人間関係
 ・照明、騒音、整理整頓の状況
 これらで職場環境を評価し、問題点を把握するとともに改善すべき点は改善します。

③メンタルヘルス不調への気づきと対応
 メンタルヘルスケアにおいては、ストレス要因の除去、軽減などの予防策が最重要ですが、どんなに対策を講じても、残念ながらメンタルへルス不調者が発生してしまうことがあります。その場合、早期発見と適切な対応を図る必要があります。

④職場復帰における支援
 メンタルヘルス不調によって休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業できるよう職場復帰支援プログラムを策定します。






 

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